2013年11月9日土曜日

knock off


ローラン・ビネのHHhHを読み終わった。
それで今、ナインストーリーズをもういっぺん読み直している。
サリンジャーは野崎訳しか読んだことがなくって、
別の人が訳した本はどうなのかなぁと手に取ったのだけれど、
やっぱしおんなじ風に心が揺さぶられる。
書かれてなんかいないのに、日のまぶしさや顎についた砂の感触、
ほとんど無音なのにとんでもなく拡張されたようなざわめき、鬱蒼とした室内の空気、部屋の暗さ、
そういったものが、確かにある。
カポーティーやサリンジャーの文章からは描写されるイメージを超えて、実際を感じる。
背後の気配が分かる。

そんなところに一滴、イノセンスを垂らされると、実感と際立ちが上手に作用して
為す術もなく過剰に反応してしまう。
帰り道、バナナフィッシュがたくさん空を泳いでた。

2013年11月4日月曜日

innocent



上司にルーリード死んじゃいましたね、って話をしたら彼の死を知らなかったらしく驚いていた。しばらくして
「俺、高校生のとき聴いてたな。リアルタイムじゃないよ?
トランスフォーマーはなくしちゃったけど。」
と話していた。羨ましかった。
私なんかサリンジャーも高校卒業してから読んだってのに。


2013年11月3日日曜日

LIT




パークハイアット東京のバーにThe L.I.Tってカクテルがあるんだよ、と教えてくれたので
人気のない新宿西口方面をたらたら歩いて高層ビル群を抜けた。
残念ながらそのカクテルの飲めるバーにはいけなかったので、41階の別のバーに行った。
あのとき歩いた夜道の風景なんか、よく覚えてる。
都庁のそばにずらっと簡易トイレが並んでた。翌日は東京マラソンだった。
私は紺色のコートについた花型の第一ボタンを、とってははずし、はずしてはかけて、

帰り道に餃子屋に寄った。2人ぐらいしか入れない店内を構えるその無愛想なおやじから、焼き餃子を2パック購入した。
おやじの餃子はたまげるほどおいしくて、そのおいしさに汚いアパートの一室で2人は大笑いをした。

2013年10月27日日曜日

オルタナテイブ



自転車で長い下り坂をかけ抜けた先の吹奏楽部と共有の入り口前で
数人のホルンさん達やトランペットくん達がパート練習をしている。
同じケースを手にした私は少し居心地わるく思いながらその脇を抜け軋むドアをあける。
扉にはふたつのサークル名が掲げられている。
曜日ごとにこの部屋の管理サークルが入れ替わるのだ。
オルタナティブという言葉に触れるたび、私はこの部屋の埃っぽいカーペットを思い出す。
それはほとんど、かつてカーペットだったもの、という代物なんだけど。

最終の練習枠を終えて部室を出ると、春の真夜中はまだ冷たい夜露のようで、
まぁでもそんなことはさっき灰がいっぱいになったバケツに吸い殻と一緒に放り込んだ。
彼らはジャージのままあてもなく車をとばす。
車には計器なんてないようなもので、それにわたしたちはほとんど時間も所持してない。
なんであの頃、さかんにあちこちの港に行っていたのだろう。
その時々で寄港している船は様々だった。
北へ向かうフェリーや自衛隊の艦隊や世界を回っている旅客船。
それらをフェンス越しにしばらく眺めていた。
車内のむせるような非生産的な空気はいつでもひどく心地よかったな。
あったかい土の中みたいだった。

2013年10月20日日曜日

official conscence


テレビでピノキオを観た。
最後に、ジミニークリケットがofficial conscenceの金バッジもらうところが好き。
「良心」ってことば、映画の中では書き言葉すぎるかんじがするけどな。
(ワンスアポンアタイムもディズニーピノキオに会わせて「良心」にしているけれど)

それからOswald the Lucky Rabbitも観た。
紙面上でできないこと、アニメーションの動きを駆使する小ネタが
ユーモアいっぱいに詰め込まれていて、ああ、まねしたいなぁ
行儀のいいテーマをかかげたスタイリッシュでつまらない映像より、
こういうのをげらげら笑ってみてる方がよっぽどいいよ

2013年10月8日火曜日

MONKEY

わたしは視覚型の人間なので、こんなに本を読んでいても慣用句を全然使えないし、
匂いや温度の表現がとっても乏しい。ひどく残念です。

昨日ベットに潜り込んで目を閉じてから、「MONKEY No.1」を買いにいかなかったことを思い出した。うっかりしていた。
お昼になってから、近くのそこそこ信用している本屋さんに行ったけれど見当たらなかったので、店員さんに聞いてみたがだめだった。しばらくして駅前のジュンク堂に電話をかけた。

「在庫1点ありますy「ありがとう!」

最後の1冊を手に入れた心地はそれはもうひどく良かった。
帰り道、車を運転しながら手をぱちぱち鳴らしたり、
(Dirty Projectorsをかけていた)
信号が赤になるたびに袋からだして表紙のつるつるをなぞったり、
ページをぱらぱらして紙のにおいを嗅いだりしていた。

そうだそうだ、少し前に高橋源一郎さんがNYでポールオースターに会った、みたいなことをつぶやいてたのはこれだったんだ、とかそういうのばっかし思いついてた。
たのしい。

2013年10月3日木曜日

La souris


1週間ぐらい前に、会社のなかでもちいさな課の卓上に、
そろそろ上映が開始される映画について書かれた校正紙が2見開きあった。
それは原作の翻訳者のうちのひとりによって書かれた文章で、
物語のなかで描かれている心やさしいトリックスターについてだった。

まだ朝早く、そこの課には誰もいなかったけれど、
ちょうどよくそのページの組み版作業をしている人が出社してきたので、
こっそり頼み込んで出力してもらった。

いつ見れるのかわからないけれど、
予習ばっちりだよ

2013年9月19日木曜日

around


burberryの2014S/Sをみたついでに、3か月前のメンズ2014S/Sをみてみたら、
いもうとのかれしのおにいちゃんのともだち(これを赤の他人とよびます)が
モデルとして出ていました。すてきでした。

2013年8月27日火曜日

fanfare


やおら例の宇宙映画に関する情報がちびちびとでてきていて、
そういうわけでみんなそわそわしている。
その情報のうちのひとつに、john williamsが次もスコア書くよ!とあった。
もれなく反応してたわたしも、そのニュースに触発されて
約半年ぶりぐらいに彼がつくった数曲を聴いていたんだけれど、
olympic fanfareでいよいよこらえきれずにcoplandへ逸れてしまった。
john williamsがolympic fanfareで意図的にcopland(Fanfare for the Common Man)ぽくしているのも、たいへんに慕っている感じがして好きです。

appalachian springsは高校時代に1番聴いていた。
昔聴いていたCDをもう一度手に入れたいんだけど、
どこのオーケストラの演奏か覚えていないから困る。





2013年8月24日土曜日

the world's end



先日、ひとりきりの映画館で(初日以外の田舎ではままあること)
スタートレックの先行を観終わってからというもの、
サイモンペッグの洗い直しをしていますなんだこのおやじ最高。

「the world's end」はいつもの人たち(サイモンペッグ、ニックフロストとエドガーライト監督)の映画。
東京では9月にイベントで上映するようです。
全国は2014春だって。

このトレイラー、最後のマーティンの顔がまた声をあげて笑わずにはいられないです。ばかかわ。

2013年8月15日木曜日

なつあざみ



家族が花火を観にいった夜、わたしはゾンビを観にいった。
翌朝おじいちゃんのお墓に熱心に手を合わせていたら
姉妹からお墓にお願いしても意味ないんだよ、と忠告をうけた。
「おかえりさないっていうんだよ」と言われたのでお墓に「目覚めよ!」と叫んで逃げた。
寺の近くの乾物屋で麦茶を飲みながら、わたし、おじいちゃんに1回夢で会ったことあるよって自慢した。(母方の祖父は私たちが生まれる前に亡くなってる)

自分の納骨日にはfacebookとかでお墓にチェックイン!したい。
いってきます、とか言いたい。

ふだん離れて暮らす祖母と家族でお寿司を食べにでかけた。
妹ははまちの握りをほおばりながら
お盆に帰ってくるひとが大勢いると空間が密々しいから、
みんなちっちゃくなればいいんじゃないかと提案してきた。
親指と人差し指の間にひろげた空間を確かめながら、ちっちゃいおじいちゃん、とか言ってた。
わたしだったら、直接知り合いじゃない代になったらお盆には帰らないから、
黄泉からの動員数はあんたが思ってるより多くないんじゃない、と答えた。

あがりを呑んでいると最近籍を入れた年下の従姉妹のはなしになった。
その場で、わたしだけが知らなかった。

2013年8月10日土曜日

enlargement



わたしが一端を担う仕事の大抵は、次のシーズンに向けて制作を進めるものだから、
いったい今は何月の何日なのか、常々分からなくなってしまう。

少し前、頭上のほおずきにあかりがぼんやり灯った様子のサムネイルをかいた。
あれがもし、感覚のいうほんとうのとうりなら、
そこにはおよそ山のお祭りみたいにわいがやが遠くで聴こえたんだけれど。
まったくあれが上手に描けたなら/書けたなら、いいのにな。





なぁ、





なぁ、尾崎よ

2013年8月4日日曜日

Isolation


ヘルベチカは数字のきれいさもあるけど、
なによりこの「ヘルベチカ」という歯ぎれのよさがいい。
葉ぎれとも呼びたいよ。