2014年2月18日火曜日

すべての美しい馬



















コーマックマッカシーの「すべての美しい馬」を読んだ。
それまで熱心に読んでたいた別の本はとても機内に持ち込めない重さだったので、という理由で選びとった文庫本だった。

故郷を捨ててメキシコを目指す主人公ジョングレイディの端的な魅力は、それを擁する熱量を肌に感じられるぐらい近かった。そして砂漠の夜の深さはその熱を心地よく冷ましてくれた。
装飾の多い独特の文体にも関わらず、その文章から香のように立ち上がる風景は雄大でどこまでもクリアで、切れ目ない文章はもはやその文章が描く草木の一本一本となって、そこに置かれたあらゆる一節が各々の役割を担いミクロにもマクロにも広がって体の中に吸収されるようだった。
とても美しい均衡を体験できた。素晴らしい本だった。