2014年5月6日火曜日

J.D.S



「サリンジャー 生涯91年の真実」を読んだ。
サリンジャーの作品では、ほんとうに、登場人物にとても近い視界と、ハートと、
読者が背景の前後左右ぐるりを確認できる自由さがとても精密に積み上げられているのだけれど、それが一体どういうことなのか、この本を読んで納得しました。

ホッチナーの話でいちばん興味ふかいのは、サリンジャーが選んだ言葉だ。彼はホッチナーに「言葉のなかに」炎を埋め込むのではなく、「言葉と言葉のあいだに」炎を置け、と忠告した。その指摘することろは、真の意味は作者が指示するものではなく、読者に感じられるものだということだ。それはとくにサリンジャー的な概念で、サリンジャーをサリンジャーたらしめている要素である。

2015年に、遺作が無事にサリンジャーの指示通り発表されますように。

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